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競馬(馬券)の税金と確定申告



競馬(馬券)の税金・確定申告お父さんたちだけではなく、最近では若い女性も多く見られるようになった競馬ですが、競馬で所得があった場合(儲けた場合)、税金はかかるのでしょうか?


答えはYES!競馬で儲けた金額によっては税金がかかりますので確定申告が必要となります。


具体的には競馬で儲けたお金は一時所得となり、一時所得には最高50万円の特別控除がありますので、50万円超、儲けたときは税金(所得税+住民税)の課税対象となりますので、確定申告して税金を納付しなければなりません。


 競馬で儲かったどこまでが税金の対象に?



まず一時所得は、その所得に直接関係した支出しか認められませんので、競馬で儲かった場合、以下の通りとなります。


■当たり馬券の購入費


競馬の場合、「払戻金-当たり馬券の購入費」が50万円超であれば一時所得の課税対象となり、確定申告して税金(所得税+住民税)を納付しなければなりませんが、この「当たり馬券の購入費」とは、的中した馬券のみしか認められませんので、仮に1万円で5点、5万円分、別々の馬券で同じレースに購入していた場合、1点が的中した場合は、その1万円のみしか当たり馬券の購入費として認められないのです。


もちろん、その他のレースのハズレ馬券は当たり馬券の購入費としては認められません。


■年間ではマイナスだったとしても・・・


一時所得はその都度の所得が課税対象となりますので、例えば・・・「年間ではマイナス収支だったが、有馬記念で100万円儲かった」、この場合もマイナスだった馬券収支は関係ありません。儲かった有馬記念の100万円に対してのみが課税対象となり、当然、100万円の当たり馬券の購入費しか支出は認められません(本当に納得がいかないですが・・・)。


また一時所得の50万円特別控除は、年間で50万円ということなので、もしも年に2度、50万円超の所得「払戻金-当たり馬券の購入費」があった場合でも、合計して50万円までしか特別控除は適用されないんです。。。


 競馬で儲かった時の税額の算出方法



競馬で儲かったお金は一時所得となり、一時所得は他の所得と合算して税額を求めますので以下の通りとなります。


{(馬券の払戻金-当たり馬券の購入費)-50万円}×1/2=一時所得(総合課税の対象)


上記のようにして一時所得を求めます。


例えば、日本ダービーで1万円馬券を購入し、100万円、払戻金があった場合は・・・


「{(100-1)-50}×1/2=245,000円」


この245,000円が一時所得となり、一時所得は総合課税ですので、この所得を他の所得と合算して税額を算出します(所得税の税率は総所得によって異なります)。


例えば給与所得が500万円のサラリーマンの場合、


「500×20.42%()-42,7500=593,500円(所得税+復興特別税)」

「500×10%=50万円(住民税)+均等割5千円(2023年までの額)」


となりますが、この給料所得に競馬で儲けた一時所得(儲けた金額ではなく、上記で算出された一時所得ですよ)が例えば約30万円(つまり約110万円競馬で儲かった場合)があると以下の通りとなります。


「530×20.42%-42,7500=654,760円(所得税+復興特別税)」

「530×10%=53万円(住民税)+均等割5千円(2023年までの額)」


となりますので、この例の場合は、一時所得約30万円(約110万円競馬で儲かった)がプラスされれば、約9万円ほど税金がプラスされるのです(もちろん所得によって税率が異なるので一概にどれほど競馬で儲ければ、どれほど税金がかかるかは人それぞれで異なります)。


2013~2037年(平成25~49年)までの25年間、"所得税額×2.1%分"が復興特別税として、増税されています(例えば20%の場合は20%×2.1%=0.42%分、つまり20.42%となります)。


 競馬で儲かって確定申告しなければどうなるの?



実際問題、競馬で儲けた人は本当に一時所得として確定申告し、納税しているのでしょうか?ハッキリとした統計はありませんが、おそらくほとんどの方が確定申告していないと思いますσ(^_^;)


そもそも競馬場やウインズで馬券を購入し、例え高額払い戻しがあった場合でも、高額払戻し窓口で住所、氏名が聞かれることはありませんので(身分証明書は不要です)、税務署が競馬で儲けた人を把握できないのが現実です。


また電話投票やインターネット投票(PAT)などは直接、銀行口座に入金されますので、バレるんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、銀行、JRAとも、税務署に対して個人情報を提示する義務はありませんので、よほど競馬で儲けているということを税務署が内偵し、裁判命令が出ない限りバレる可能性は低いかもしれません。


ただし税務署が、「こいつは競馬で大儲けしているくせに申告していないな」ということを確信し、数ヶ月に渡って内偵捜査を行い、裁判命令を取り付ければ、お金の出所について聞かれ、残念ながらバレる可能性もありますが・・・(特に有名人が馬券で大金を手にしたというニュースがあった場合は、税務署としては動きやすいので、そのような方は正直に申告したほうが良いでしょう)。


 はずれ馬券も経費(購入費)として認められるのか?



外れ馬券は経費(購入費)か?否か?


私たちが競馬(JRAの場合)で馬券を購入する際、25%控除後の75%を馬券が当たった人たちで分けるシステムになっています(つまり1億の売上があれば7,500万円分を当たり馬券として還元する)。


馬券を購入する側からすれば実質、馬券を購入する際に25%の税金を徴収されているのと同じかもしれませんが、これはあくまでもJRAの運営費や国庫納付金という形なので税金ではありません。


さらに競馬で50万円超~(1回の払い戻し)儲けた場合、その所得は一時所得として課税対象、つまり初めて税金の対象となるのです。


そこで問題となったのが、元会社員の男性が2007~2009年の3年間に、


・馬券購入費⇒28億7,000万円
・当たり馬券 ⇒30億1,000万円
・収支総額  ⇒+約1億4,000万円


上記の所得を得ていたことが発覚し、検察側は「一時所得」にあたると主張し、当たり馬券に関係ない外れ馬券は必要経費としては認められないと主張。つまり・・・、

・{(配当総額-当たり馬券の購入費) -50万円}×1/2=約14億5,000万円


約14億5,000万円が課税対象となり、所得税額、約5億7,000万円を申告しなかったと指摘し、裁判が行われていました。


そして2013年5月23日、大阪地裁は元会社員の男性に懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)の有罪判決を言い渡しましたが、外れ馬券については「経費と認められる」と判断し、実質、元会社員の男性側の勝訴の判決となりました。


西田裁判長は「被告は娯楽ではなく資産運用として競馬を行っていた」と指摘。所得から控除できる必要経費について「当たり馬券の購入額だけ」とする検察側の主張を退け、「外れ馬券分も必要経費に含まれる」との判断を示し、課税額を約5億7,000万円から約5,200万円に大幅に減額されました。


今回、被告側は"雑所得"を主張し、検察側は"一時所得"と主張。結果、裁判長は雑所得と認め、外れ馬券だけでなく、競馬ソフトのデータ利用料なども経費にあたると判断しました。


今回のケースは一般的に趣味で馬券を購入する場合と少し違うケースなので、一般的に50万円超、馬券で儲けた場合、いままでの外れ馬券が経費として認められるかというと、それはまた違う話だと思います。


いずれにしても今回の裁判所の判断によって、今後、馬券に関する税金についても、何らかの変更等があるかもしれませんね。


2015年3月10日、最高裁も一審、二審同様に、「払戻金は雑所得に当たる」と判断し、「外れ馬券を含む一連の馬券購入が一体の経済活動であり、全ての購入費用が払戻金という収入に対応している」と述べ、外れ馬券購入費を経費と認定しました(検察側の上告を棄却)。



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