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2008年3月27日

株の税金と確定申告



株の税金と確定申告の場合、

配当課税⇒20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

株式譲渡益課税⇒20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

上記の税金がかかります。


さらに現物取引の場合、株式委託手数料にかかる消費税もかかります。


具体的に、仮に株で100万円の配当利益があった場合、20万3,150円(20.315%)の税金を納めることとなるのです。


株の配当、売却益等は復興特別所得税の対象なので、2013年(平成25年)1月1日~2037年12月31日まで「所得税(15%)×2.1%=0.315%分、上乗せされ所得税が15%⇒15.315%」となっています。


 NISA(ニーサ)の税金



2014年(平成26年)1月からNISA(少額投資非課税制度)が始まりました(制度は2023年までの予定)。


具体的にNISA口座で取引すると、投資額100万円(2016年1月から120万円に拡大)までの株、投資信託等の配当、株式譲渡益が非課税となります。


また非課税投資枠は最大5年間、つまり「120万円×5年間=600万円」となっていますが、途中の売却は非課税投資枠を使用したこととなります。


2016年(平成28年)からはジュニアNISAが始まり(制度はNISAと同じく2023年までの予定)、投資額80万円までの株、投資信託等の配当、株式譲渡益が非課税となります(当然、口座開設、取引等は親権者が行います)。


非課税投資枠もNISAと同じで最大5年間、「80万円×5年間=400万円」となっています。


このジュニアNISAを利用することによって、NISAと合わせて非課税投資枠は「120万円(親1人分)+80万円(子供1人分)=200万円」の株、投資信託等の配当、株式譲渡益が非課税となります。


ですので例えば、夫婦+子供2人でこの制度を利用すれば、さらに非課税投資枠が増えることとなります。


ただNISAと大きく異なるのが払い出し制限があることで、ジュニアNISAの場合、原則として18歳までは払い出しができないので注意が必要です(長期投資目的でなければ利用する価値はないかもしれません)。


/ NISA ジュニアNISA
対象者 20歳以上 0~19歳
非課税投資枠 120万円/年 80万円/年
最大非課税投資枠 600万円 400万円
払い出し制限 なし 原則18歳まで不可


 株の納税方法




株の場合、納税者(投資者)が「源泉徴収or確定申告」いずれで納付するかを選べるようになっており、口座開設時に以下の3種類の中から自由に選択が可能となっています。


~特定口座(源泉徴収有り)~

譲渡損益を証券会社が計算し、利益が出た時点で源泉徴収を行ってくれ、自動的に税金(所得税+住民税)が差引かれますので確定申告の必要はありません(この特定口座にかかる利用手数料もかかりません)。

特定口座(源泉徴収有り)は以下のような方に向いています。

・株での利益が必ず出せると自信のある方

・確定申告が面倒な方

・サラリーマンなどで会社に株をしていることを知られたくない方

・株の所得額によっては「扶養控除配偶者控除」に影響が出る方

ちなみに特定口座(源泉徴収有り)を選択しても「年間取引報告書」を利用して確定申告をすることが可能です。つまり下記2つと同様に譲渡損失、上場株式等の利子、分配金、配当金を損益通算することが可能です。


~特定口座(源泉徴収無し)~

譲渡損益を証券会社が計算し、「年間取引報告書」を作成して納税者に交付してくれますが、税金(所得税+住民税)は自分で確定申告します。

特定口座(源泉徴収無し)の場合、簡易な方法で確定申告ができ、損益通算(3年間)も当然可能です。

例えば2016年に株で100万円マイナスとなった場合、2017年に株で100万円の利益があっても損益通算することが可能なので納税義務はありません(もちろん確定申告は必要です)。


~一般口座~

利益が出た場合、自分で「年間取引報告書」を作成し、税金(所得税+住民税)は自分で確定申告します。また損益通算も可能となっています。


年間の給料所得が2,000万円以下で、株の譲渡益(売却益)が20万円以下の場合、どの納税方法であっても確定申告不要で納税義務もありませんが、損益通算するためには確定申告しておかなければならないので、特定口座(源泉徴収無し)、一般口座の方は利益が20万円以下であっても、またマイナスであっても確定申告しておかなければ損益通算できませんので注意しましょう!



2008年3月25日

FX(外為証拠金取引)の税金と確定申告


FX(外為証拠金取引)の税金と確定申告
FX(外国為替証拠金取引)で得た利益は、2011年12月31日まで総合課税の雑所得となっていましたが、2012年(平成24年)1月以降の決済より、「くりっく365」などの取引所FX、市場デリバティブ(先物オプション)と同じ税率20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税となりました。


2013~2037年(平成25~49年)までの25年間、"所得税額×2.1%分"が復興特別税として増税されています(15%×2.1%=0.315%分、つまり所得税15.315%+住民税5%=20.315%となります)。


2011年12月31日まで
(総合課税)
2012年1月1日~
(申告分離課税)
課税所得
(給料所得などと合算)
税率(%)
一律20.315%
~195万円以下 15%
195万円超~330万円以下 20%
330万円超~695万円以下 30%
695万円超~900万円以下 33%
900万円超~1,800万円以下 45%
1,800万円超~ 50%


 FX(外為証拠金取引)と他の取引の損益通算が可能



2011年までは店頭デリバティブ(FX・CFDなど)と市場デリバティブ(先物オプション)で発生した利益と損失を損益通算することが出来ませんでしたが、2012年より損益通算が可能となりました。


もちろん従来通り、店頭FXと店頭CFDの損益通算も可能です。


 FX(外為証拠金取引)の損失は3年間繰越可能



2012年より店頭デリバティブ(FX・CFDなど)と市場デリバティブ(先物オプション)などの取引で損失を被った場合、その翌年以降3年間、発生した利益から損失額を控除することが出来ます。


ただし、損失繰越控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。


 FX(外為証拠金取引)の税金を節税するには?



上記の通り、FX(外国為替証拠金取引)で利益を得た場合には税金を納付しなければなりませんが、当然、FXで利益を得るために要した費用は必要経費として認められますので、必ず領収書(レシート)をもらうようにしておきましょう。


具体的には・・・


・支払手数料
・パソコン代
・プロバイダ代(通信費用)
・FX関連の書籍費用
・FX関連のセミナー費用(交通費含む)
・新聞代
・文房具費


例えばFXで100万円の利益があったとしても、領収書がまったくなかった方は100万円に対して税金がかかりますが、40万円分の領収書(必要経費として認められる物)があれば「100-40=60万円」に対して税金がかかりますので、かなり大きな差となりますよ。


 FX(外国為替証拠金取引)の確定申告で必要な書類等



・源泉徴収表(サラリーマンなどの場合)

・1年間の経費一覧(領収書、レシートは税務調査を受けた際に必要となります)

・FX会社からコピーした年間損益合計表


 FX(外為証拠金取引)に対する税制改正



これまでFX(外国為替証拠金取引)は、取引所で取引する場合は、仲介業者が取引に関する書類を税務署に提出する義務がありましたが、取引業者の大半が公設の市場を介さずに店頭取引を行う業者のため、支払い調書を税務署に提出する義務がなく、投資家が得た利益を税務署が把握しづらいのが原状でした。


そのためFXを行う個人投資家が得た利益を申告しないケースが目立っており問題となっていましたが、2009年(平成21年)01月01日より、FX(外為証拠金取引)について「国内の業者に個々人の取引状況(課税出来る利益)の報告を義務付ける」という税制が導入されています。


最近ではFX(外為証拠金取引)で多額の利益を得ているにもかかわらず、確定申告をしなかったため税務調査を受けて多額の追徴税を納付しなければならなくなったり、最悪、逮捕(告発)されたというニュースを聞くようになりましたので、「バレナイだろう?」などと思って確定申告を怠ると後悔することになるかもしれませんので、確実に確定申告を行いましょう!


FX(外国為替証拠金取引)で9億円脱税した3人告発


財テクで2億7,000万脱税



2008年3月23日

外貨預金の税金と確定申告



外貨預金の税金と確定申告外貨預金は「外貨預金の利息部分・為替差益」に対して税金がかかり、外貨預金の利息部分は源泉分離課税となっていますので、日本国内に預金している場合は円預金同様、すでに税金が差引かれていますので確定申告は必要ありません。


つまり国税15.315%+地方税5%=20.315%が自動的に差引かれています(2037年まで復興特別所得税として増税されています)。


外貨預金について詳しくは外貨預金ガイド


一方、外貨預金の為替差益(円貨から外貨に交換した為替レートよりも円に戻したときの為替レートが変動する場合に生じる差益)の場合は雑所得となり、他の所得と合算して税率が決まる総合課税となっていますので確定申告が必要になりますが、年収2,000万円以下の給与所得者の人で、給与所得、退職所得以外の所得が為替差益を含めて年間20万円以下であれば確定申告は不要、納税義務はありません。


さらに年間20万円以上の外貨預金為替差益があった場合でも、先物予約レートを定めている場合の外貨建預貯金の為替差益は、外貨預金の利息部分同様、源泉分離課税(国税15.315%+地方税5%=20.315%)となりますので確定申告は不要となっています。


予約レートがなく年間20万円以上の為替差益があった場合、他の所得と合わせて確定申告が必要ですが、もしも外貨預金によって為替差損(マイナス勘定)が発生した場合は他の雑所得があれば、その金額と損益通算することができますが、通算してもしも雑所得がマイナスとなった場合でも、他の所得(給与所得不動産所得配当所得など)と損益通算することはできません。



2008年3月19日

アフィリエイトの税金と確定申告



アフィリエイトの税金・確定申告アフィリエイトで所得があった場合、確定申告して税金(所得税+住民税+個人事業税+消費税)を納付しなければならない場合と、確定申告不要、税金を納付しなくても良い場合に分かれます。


このページの内容と税務署の見解は異なる場合がありますので、不安な方は確定申告する前に税理士、または税務署に相談してください。


 アフィリエイトで確定申告が必要?不要?



・給与所得者(サラリーマン・パート・バイトなど)

20万円超であれば確定申告必要!

給料所得、退職所得以外の所得合計(アフィリエイト・ネットオークション・FX・原稿料など)が20万円超の人は確定申告が必要です(20万円以下の人は不要)。

例えばアフィリエイトでは10万円しか所得がなくてもFXで15万円の所得があれば確定申告が必要となります(ちなみに給料所得者であればアフィリエイトの所得は雑所得となりますが、当然、開業届けを提出すれば事業所得となります)。


20万円以下であっても住民税の申告は必要です。

雑所得と事業所得の違いは、税務署に個人事業主の開業届けを提出しているかどうかだけですが、個人事業主となっていれば「青色申告特別控除・事業専従者給与の必要経費参入・純損失の繰越、繰り戻し」など多くの特典がありますので、アフィリエイトによる所得が少ない場合は雑所得でも良いですが、アフィリエイトによる所得が大きくなれば開業届けを提出し、個人事業主になることをオススメします。

サラリーマンの方の場合、通常、住民税が「特別徴収(所得に掛かる住民税すべて給与所得から天引)」となっているため、特別徴収としていれば市区町村役場から会社に送付される「住民税の決定通知書」の内容からアフィリエイトなどの所得があることが会社にバレル可能性があります。

しかし確定申告する際に、「確定申告書第2表の住民税・事業税に関する事項にある給与所得以外の住民税の徴収方法」の選択で、自分で納付(普通徴収)にすることで、アフィリエイトなど給料所得以外の住民税と、給料所得の住民税を別々に納付することが可能となり、会社にバレずにアフィリエイトなどの副業をすることができます(大規模な会社の場合、そこまで見ていないため特別徴収でもバレない可能性はありますが・・・)。


・アフィリエイトでしか所得のない方(学生・主婦・無職など)

38万円超であれば確定申告必要!

アフィリエイトでの所得(利益から必要経費を差引いた額)が38万円超であれば確定申告して税金(所得税+住民税)を納付しなければなりません(アフィリエイトでしか所得がない方は事業所得となりますが、アフィリエイトを専業にし、法人化している場合は給与所得となります)。



自営業者の税金と確定申告


38万円以下であっても住民税の申告は必要です。

医療費控除などを受ける場合は、仮に上記のように確定申告が不要な場合でも全ての所得を申告する必要があります。

専業主婦がアフィリエイトでの所得があれば、パート代(アルバイト代)と同じ考え方となり、パートなど給料所得の場合は

・「基礎控除(一律38万円)+給料所得控除(最低65万円)=103万円」

を超えると配偶者控除が受けられなくなりますが、アフィリエイトの場合は給料所得控除がありませんので、基礎控除38万円のみとなるため、38万円を超えると配偶者控除が受けられなくなる可能性がありますので、そのあたりのことも考えておきましょう。


 アフィリエイトで計上できる経費



アフィリエイトでの所得=売り上げ(利益)-必要経費(通信費など)


それでは必要経費にはどのようなものが認められるのでしょうか?


・通信費(プロバイダ料金、NTT料金など)

・パソコン代(本体だけでなく、プリンタ(インク代含む)、ソフトウェアなど)

・広告料金(アドワーズ、オーバーチュアなどのリスティング広告など)

・アフィリエイト関連書籍代

・アフィリエイト関連のセミナー代(交通費含む)

・家賃、光熱費(按分して割合を決めます)

・支払手数料(取引にかかる手数料、銀行手数料など)

・交流費用(食事代、交通費など)


など・・・


全額が必要経費として認められるわけではなく、アフィリエイトに関わった部分だけが必要経費として認められますので、最終的には按分して必要経費として計上することとなります(按分の割合については個々の状況によって異なりますので、税理士、または税務署に相談しましょう)。


 アフィリエイトでの所得は個人事業税の対象に



アフィリエイトで所得がある場合、所得税、住民税、消費税(1,000万円超の場合)とは別に個人事業税の対象となります。


個人事業税の算出方法は・・・


「(前年の事業所得(+青色申告特別控除)-事業主控除290万円)×税率(5%)=個人事業税」


となりますので、アフィリエイトの場合、年間所得290万円以下であれば個人事業税はかかりません。


では具体的にアフィリエイトでの年間所得が400万円であれば以下の通りとなります(アフィリエイトの個人事業税の税率は5%)。


「(400-290)×5%=55,000円」


アフィリエイトでの所得が個人事業税に該当するかは税務署の見解によって異なる場合があります。



2008年3月17日

ネットオークションの税金と確定申告



ネットオークションの税金と確定申告

ネットオークション(せどり)を利用して利益が出た場合、確定申告して税金(所得税+住民税)を納付しなければならない場合と、納付しなくても良い場合に分かれます。


 ネットオークションで確定申告が必要?不要?



・生活用動産を売って利益があった場合

確定申告不要!

自宅で不要となった生活用品(家具・衣類など)をネットオークションに出品して利益があった場合、基本的に生活用動産扱いで非課税となるため確定申告をして税金を納付する義務はありません。


例え生活用動産をネットオークションに出品し、年間20万円、または38万円を超える利益があった場合でも、確定申告して税金(所得税+住民税)を納付する義務はないのです。


・給与所得者(サラリーマン・バイトなど)

20万円超であれば確定申告必要!

継続的にネットオークションに出品するなどして生活用動産扱以外のものを出品し、給料所得、退職所得以外の所得合計(ネットオークション・FX・原稿料など)が20万円超の人は確定申告が必要です(20万円以下の人は不要)。

例えばネットオークションでは10万円しか所得がなくても原稿料で15万円の所得があれば確定申告が必要となります(ちなみに給料所得者であればネットオークションの所得は雑所得となります)。


20万円以下であっても住民税の申告は必要です。

サラリーマンの方などで、会社にネットオークションなどの副業がバレたくない方は、確定申告する際に、「給与所得以外の住民税の徴収方法を自分で納付(普通徴収)」にすることで、ネットオークションなど給料所得以外の住民税と、給料所得の住民税を別々に納付することが可能となり、会社にバレずにネットオークションをすることができます(その他のことからバレる可能性は否定できませんが・・・)。


・ネットオークションでしか所得のない方(学生・主婦など)

38万円超であれば確定申告必要!

継続的にネットオークションに出品するなどして生活用動産扱以外のものを出品し、ネットオークションでの所得(落札価格から必要経費を差引いた額)が38万円超であれば確定申告して所得税を納付しなければなりません(ネットオークションでしか所得がない方は事業所得となりますが、ネットオークションを専業にし(せどりなど)、法人化している場合は給与所得となります)。


自営業者の税金と確定申告


38万円以下であっても住民税の申告は必要です。


・高額な商品を出品する方

「貴金属・美術品・骨董品・絵画」など、1つ30万円超の高額な物を出品し、所得があった方は確定申告が必要です。


 ネットオークションで確定申告する場合の必要経費



ネットオークションでの所得=売り上げ-必要経費(仕入れ代金など)


それでは必要経費にはどのようなものが認められるのでしょうか?


~ネットオークションでの必要経費~

・仕入れ代金
・通信費(プロバイダ料金など)
・送料(商品の梱包、発送費用など)
・家賃、光熱費(按分して割合を決めます)
・ネットオークション利用料金
・広告費
・支払手数料(取引にかかる手数料、銀行手数料など)


など・・・


全額が必要経費として認められるわけではなく、ネットオークションに関わった部分だけが必要経費として認められますので、最終的には按分して必要経費として計上することとなります(按分の割合については個々の状況によって異なりますので、税理士、または税務署に相談しましょう)。



2008年3月 9日

退職金の税金と確定申告



退職金の税金・確定申告

退職金退職所得)は他の所得と合算されない分離課税となっており、退職金が受給された場合は源泉徴収、または確定申告によって税金(所得税+復興特別税+住民税)を納付しなければなりませんが、その性質上、通常よりも税額が少なくなるように優遇されています。


 退職金の税金と確定申告



退職金を受給した場合、以下のように算出して税額が決まります。


「(退職金-退職所得控除)×1/2=退職所得」

「退職所得×税率=納税額」


勤続年数5年以下の法人役員の退職金は"×1/2"できません。


~退職所得控除額~


退職所得控除額は以下の通り、勤続年数が長ければ長いほど優遇されています。


・勤続年数20年以下・・・

「40万円×勤続年数=退職所得控除額」(80万円に満たない場合は80万円)


・勤続年数20年超・・・

「800万円+70万円×(勤続年数-20万円)=退職所得控除額」


上記の通り、退職所得控除額は最低でも80万円となりますので、退職金が80万円以下であれば退職金に税金(所得税+復興特別税+住民税)はかかりません。


障害退職の場合は上記の額から100万円が加算されます(障害者になったことが直接の原因で退職した場合)


勤続年数の端数がある場合は1年として計算します(例:30年と5ヶ月の場合は31年となります。30年と1日でも31年となります)。


具体的には・・・

勤続年数「27年と2ヶ月(28年と計算します)」の場合は・・・

「800万円+70万円×(28-20)=1,360万円(退職所得控除額)」


以上のようになりますのでこの場合、仮に退職金が1,360万円以下であれば退職金に税金はかかりません。


~退職所得の税率~


退職所得には通常通りの「所得税の税率」が課せられます。


具体的には・・・

「退職金2,200万円・勤続年数27年2ヶ月で、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していた場合」

「<2,200万円(退職金)-1,360万円(退職所得控除額)>×1/2=420万円(退職所得)」

「420万円×税率30.42%(所得税+復興特別税20.42%+住民税10%)=約128万円(退職金の納税額)」

となります。


2013~2037年(平成25~49年)までの25年間、"所得税額×2.1%分"が復興特別税として、増税されています(例えば20%の場合は20%×2.1%=0.42%分、つまり20.42%となります)。


~退職所得の納税方法~


退職所得は原則、分離課税として他の所得とは別々に計算され納税しますが、退職所得控除を受けるためには退職金を受け取るまでに「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しなければならず、この申告書を提出していれば退職所得控除が考慮されて算出された税金(所得税+復興特別税+住民税)が源泉徴収(住民税は特別徴収)されますので確定申告は不要となります。


一方、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しない場合は、退職所得控除を受けることができず、「退職金×一律20.42%が源泉徴収」されることとなりますので、退職金の額によってはかなりの額の税金(所得税+住民税)を納付しなければならなくなるのですが、確定申告すれば所得税が還付される可能性があります。


住民税の還付請求は認められません。

年途中で退職し、その後、就職していない場合、年末調整を受けていないので通常なら還付されるべき税金が還付されていませんので、確定申告することによって所得税の一部が還付される可能性があります。



2008年3月 7日

競馬(馬券)の税金と確定申告



競馬(馬券)の税金・確定申告お父さんたちだけではなく、最近では若い女性も多く見られるようになった競馬ですが、競馬で所得があった場合(儲けた場合)、税金はかかるのでしょうか?


答えはYES!競馬で儲けた金額によっては税金がかかりますので確定申告が必要となります。


具体的には競馬で儲けたお金は一時所得となり、一時所得には最高50万円の特別控除がありますので、50万円超、儲けたときは税金(所得税+住民税)の課税対象となりますので、確定申告して税金を納付しなければなりません。


 競馬で儲かったどこまでが税金の対象に?



まず一時所得は、その所得に直接関係した支出しか認められませんので、競馬で儲かった場合、以下の通りとなります。


■当たり馬券の購入費


競馬の場合、「払戻金-当たり馬券の購入費」が50万円超であれば一時所得の課税対象となり、確定申告して税金(所得税+住民税)を納付しなければなりませんが、この「当たり馬券の購入費」とは、的中した馬券のみしか認められませんので、仮に1万円で5点、5万円分、別々の馬券で同じレースに購入していた場合、1点が的中した場合は、その1万円のみしか当たり馬券の購入費として認められないのです。


もちろん、その他のレースのハズレ馬券は当たり馬券の購入費としては認められません。


■年間ではマイナスだったとしても・・・


一時所得はその都度の所得が課税対象となりますので、例えば・・・「年間ではマイナス収支だったが、有馬記念で100万円儲かった」、この場合もマイナスだった馬券収支は関係ありません。儲かった有馬記念の100万円に対してのみが課税対象となり、当然、100万円の当たり馬券の購入費しか支出は認められません(本当に納得がいかないですが・・・)。


また一時所得の50万円特別控除は、年間で50万円ということなので、もしも年に2度、50万円超の所得「払戻金-当たり馬券の購入費」があった場合でも、合計して50万円までしか特別控除は適用されないんです。。。


 競馬で儲かった時の税額の算出方法



競馬で儲かったお金は一時所得となり、一時所得は他の所得と合算して税額を求めますので以下の通りとなります。


{(馬券の払戻金-当たり馬券の購入費)-50万円}×1/2=一時所得(総合課税の対象)


上記のようにして一時所得を求めます。


例えば、日本ダービーで1万円馬券を購入し、100万円、払戻金があった場合は・・・


「{(100-1)-50}×1/2=245,000円」


この245,000円が一時所得となり、一時所得は総合課税ですので、この所得を他の所得と合算して税額を算出します(所得税の税率は総所得によって異なります)。


例えば給与所得が500万円のサラリーマンの場合、


「500×20.42%()-42,7500=593,500円(所得税+復興特別税)」

「500×10%=50万円(住民税)+均等割5千円(2023年までの額)」


となりますが、この給料所得に競馬で儲けた一時所得(儲けた金額ではなく、上記で算出された一時所得ですよ)が例えば約30万円(つまり約110万円競馬で儲かった場合)があると以下の通りとなります。


「530×20.42%-42,7500=654,760円(所得税+復興特別税)」

「530×10%=53万円(住民税)+均等割5千円(2023年までの額)」


となりますので、この例の場合は、一時所得約30万円(約110万円競馬で儲かった)がプラスされれば、約9万円ほど税金がプラスされるのです(もちろん所得によって税率が異なるので一概にどれほど競馬で儲ければ、どれほど税金がかかるかは人それぞれで異なります)。


2013~2037年(平成25~49年)までの25年間、"所得税額×2.1%分"が復興特別税として、増税されています(例えば20%の場合は20%×2.1%=0.42%分、つまり20.42%となります)。


 競馬で儲かって確定申告しなければどうなるの?



実際問題、競馬で儲けた人は本当に一時所得として確定申告し、納税しているのでしょうか?ハッキリとした統計はありませんが、おそらくほとんどの方が確定申告していないと思いますσ(^_^;)


そもそも競馬場やウインズで馬券を購入し、例え高額払い戻しがあった場合でも、高額払戻し窓口で住所、氏名が聞かれることはありませんので(身分証明書は不要です)、税務署が競馬で儲けた人を把握できないのが現実です。


また電話投票やインターネット投票(PAT)などは直接、銀行口座に入金されますので、バレるんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、銀行、JRAとも、税務署に対して個人情報を提示する義務はありませんので、よほど競馬で儲けているということを税務署が内偵し、裁判命令が出ない限りバレる可能性は低いかもしれません。


ただし税務署が、「こいつは競馬で大儲けしているくせに申告していないな」ということを確信し、数ヶ月に渡って内偵捜査を行い、裁判命令を取り付ければ、お金の出所について聞かれ、残念ながらバレる可能性もありますが・・・(特に有名人が馬券で大金を手にしたというニュースがあった場合は、税務署としては動きやすいので、そのような方は正直に申告したほうが良いでしょう)。


 はずれ馬券も経費(購入費)として認められるのか?



外れ馬券は経費(購入費)か?否か?


私たちが競馬(JRAの場合)で馬券を購入する際、25%控除後の75%を馬券が当たった人たちで分けるシステムになっています(つまり1億の売上があれば7,500万円分を当たり馬券として還元する)。


馬券を購入する側からすれば実質、馬券を購入する際に25%の税金を徴収されているのと同じかもしれませんが、これはあくまでもJRAの運営費や国庫納付金という形なので税金ではありません。


さらに競馬で50万円超~(1回の払い戻し)儲けた場合、その所得は一時所得として課税対象、つまり初めて税金の対象となるのです。


そこで問題となったのが、元会社員の男性が2007~2009年の3年間に、


・馬券購入費⇒28億7,000万円
・当たり馬券 ⇒30億1,000万円
・収支総額  ⇒+約1億4,000万円


上記の所得を得ていたことが発覚し、検察側は「一時所得」にあたると主張し、当たり馬券に関係ない外れ馬券は必要経費としては認められないと主張。つまり・・・、

・{(配当総額-当たり馬券の購入費) -50万円}×1/2=約14億5,000万円


約14億5,000万円が課税対象となり、所得税額、約5億7,000万円を申告しなかったと指摘し、裁判が行われていました。


そして2013年5月23日、大阪地裁は元会社員の男性に懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)の有罪判決を言い渡しましたが、外れ馬券については「経費と認められる」と判断し、実質、元会社員の男性側の勝訴の判決となりました。


西田裁判長は「被告は娯楽ではなく資産運用として競馬を行っていた」と指摘。所得から控除できる必要経費について「当たり馬券の購入額だけ」とする検察側の主張を退け、「外れ馬券分も必要経費に含まれる」との判断を示し、課税額を約5億7,000万円から約5,200万円に大幅に減額されました。


今回、被告側は"雑所得"を主張し、検察側は"一時所得"と主張。結果、裁判長は雑所得と認め、外れ馬券だけでなく、競馬ソフトのデータ利用料なども経費にあたると判断しました。


今回のケースは一般的に趣味で馬券を購入する場合と少し違うケースなので、一般的に50万円超、馬券で儲けた場合、いままでの外れ馬券が経費として認められるかというと、それはまた違う話だと思います。


いずれにしても今回の裁判所の判断によって、今後、馬券に関する税金についても、何らかの変更等があるかもしれませんね。


2015年3月10日、最高裁も一審、二審同様に、「払戻金は雑所得に当たる」と判断し、「外れ馬券を含む一連の馬券購入が一体の経済活動であり、全ての購入費用が払戻金という収入に対応している」と述べ、外れ馬券購入費を経費と認定しました(検察側の上告を棄却)。



2008年3月 5日

宝くじの税金と確定申告



宝くじの税金と確定申告一等前後賞合わせて3億円!このように庶民にとってはまさに夢の宝くじですが、もしも宝くじ(年末ジャンボ・toto・ナンバーズ・ロト6など)に当選した場合、税金(所得税・住民税)はかかるのでしょうか?


答えはNO!個人が受け取る宝くじの当選金は非課税となっていますので、例え宝くじで3億円が当たった場合でも、税金は一切かかりませんので確定申告も必要ありません


なぜ宝くじの当選金は非課税なのか?というと、例えばジャンボ宝くじの場合、約40%(1枚300円のジャンボ宝くじの約120円分)は収益金として発売元の各自治体の収益となっていますので、私たちは宝くじが当たろうと、外れようと、宝くじを購入した時点ですでに税金を払っていると同じことなので、当選金からさらに税金を搾り取られることはないのですσ(^_^;)


懸賞、クイズ番組の賞品や賞金、福引の当選金などは一時所得として課税の対象となります。例えばクイズ番組に出場し、1,000万円を獲得した場合は税金がかかりますので注意しましょう。


 宝くじで税金がかかってしまう場合



上記で説明したとおり、個人が宝くじの当選金を受け取る場合は税金はかかりませんが、もしも当選金を家族、友人、知人などに分配してしまうと、当然「贈与税(1人に対して年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりません)」の対象となりますし、仮に宝くじをグループで購入していた場合でも、当選金を1人で受け取って、後にグループのメンバーに分配した場合も同様に贈与税の対象となりますので、当選金を分配したい場合は、必ず銀行で受け取る際に、分配したい人全員の名義で受け取るようにしなければならないのです(受取人の署名・捺印がある委任状があればOKです)!


例えば2人で宝くじを購入し(グループ買い)、1億円の宝くじが当選した場合(うらやましい・・・)、1人で当選金1億円を受け取り、後にもう一方に5千万円を分配した場合、以下のような贈与税(一般贈与の場合)がかかります。


「(贈与額-基礎控除額110万円)×税率-控除額=贈与税額」

「(5,000万円-110万円)×55%(贈与税の最高税率)-400万円(控除額)=2,289万5千円


5,000万円を贈与すると、なんと約2,300万円も贈与税がかかってしまうのです!


贈与税の税率は高いので、もしも宝くじで高額当選した場合で、後に分配する場合は、必ず受け取る際に分配したい人全員の名義で受け取るようにしなければ、かなり高額な贈与税を納付するはめになりますので注意しましょう!


 当選証明書を発行してもらおう!



宝くじで高額当選した場合、マイホームを買ったり、車を買ったり、事業を始めることもあるかもしれませんが、その場合、税務署からそのお金の出所について問い合わせられることがあります。しかし、「当選証明書」があれば、宝くじで当選したことを証明することができるのです。


当選証明書は当選者からの申し出があれば銀行で発行してもらえますので、不要と思っても後に必要になる場合がありますので、当選金を受け取る際に忘れないように発行してもらいましょう!



2008年3月 2日

結婚・出産の税金について


結婚・出産の税金
結婚、出産して家族構成が変わると税金(所得控除)についても変わります。また結婚する時期、出産する時期によって税金で有利になることもありますので、税金面で少しでも有利になりたい方は、出産は難しいかもしれませんが、結婚する時期については考えたほうが良いかもしれません。


 配偶者控除と配偶者特別控除



結婚して配偶者ができれば、配偶者の所得に応じて「配偶者控除/配偶者特別控除」が受けられるようになります。


配偶者控除は、配偶者の所得が38万円以下(給料収入のみの場合は103万円以下)であれば「所得税38万円(配偶者が70歳超は48万円)」の所得控除が受けられるようになります。


よく"103万円の壁"と言われていますが、つまり103万円までの給料収入であれば配偶者控除が受けられるということは、給料所得控除(最低65万円)がありますので、給料収入が103万円以下であれば、103万(収入)-65万(給料所得控除)=38万(給料所得)となり、配偶者控除が受けられるということです。


配偶者特別控除は、配偶者控除の所得を超えた場合に適用される所得控除で、「38万円超~76万円未満(給料収入の場合は103万円超~141万円未満)」であれば、3~38万円の範囲で所得控除が受けられます。


/ 所得
(給料収入)
控除額
配偶者控除額
(所得税)
38万円以下
(給料収入のみは103万円以下)
38万円
配偶者控除額
(住民税)
33万円以下
(給料収入のみは98万円以下)
33万円


所得税だけでなく住民税にも配偶者控除があり、配偶者の所得が33万円以下(給料収入のみの場合は98万円以下)であれば33万円の所得控除が受けられます。


~配偶者特別控除が受けられない場合~


配偶者控除を緩和する形で設けられた配偶者特別控除ですが、以下に該当する場合は適用外となりますので注意しましょう!


・納税者(夫)の年間総所得額が1,000万円(給料収入は1,231万円)を超える場合

・配偶者が他の扶養親族の場合

・配偶者が事業専従者として青色事業専従者給与の支払いを受けている場合

・配偶者が事業専従者控除に該当する場合


またこの配偶者控除、配偶者特別控除、次の扶養控除などのいわゆる「人的控除」は、その年の12月31日現在の状況によって控除されるのかどうかが決まりますので、結婚する場合(婚姻届の提出)はできるだけ12月31日までにしたほうが税金面で有利となるのです。


例えば12月31日に結婚するのと、1月1日に結婚するのでは1日しか違いませんが、税金面では1年、違ってきますので、具体的には以下の通りとなります。


例:夫の給料所得600万円/妻の所得なし/子供なしの場合の、2016年分の税金について・・・


2016年12月31日に結婚 2017年1月1日に結婚
夫の給料所得 600万円(2016年分)
配偶者控除 38万円(住民税33万円) 適用なし
課税所得 562万円(住民税567万円) 600万円
所得税額 所得×20.42%-427,500円=約720,100円 所得×20.42%-427,500円=約797,700円
住民税額
(所得割)
56万7千円 60万円
所得税+住民税 約1,287,100円 1,397,700円


以上のようになり、実際には配偶者控除だけでなくその他の控除も適用されるでしょうし、もちろん夫の所得額によってかなり異なりますが、結婚する時期によっては「所得税+復興特別税+住民税」が、10万円以上の差が出てしまうのです!(10万円あればチョットした旅行に行けますね)


2013~2037年(平成25~49年)までの25年間、"所得税額×2.1%分"が復興特別税として、増税されています(例えば20%の場合は20%×2.1%=0.42%分、つまり20.42%となります)。


 配偶者の所得税と住民税



ちなみに配偶者本人の税金で言うと、「38万円以下(給料収入のみの場合は103万円以下)」であれば所得税はかかりませんので、配偶者控除を受けて、なおかつ配偶者本人の税金もかからない38万円(給料収入のみの場合は103万円)付近の所得の場合は必ず、これ以上稼いだほうがよいのか?配偶者控除(配偶者特別控除)を受けて、なおかつ配偶者の税金もかからないほうがお得なのか?を考えましょう!


住民税(所得割)は非課税限度額が35万円となっていますので、給料収入のみの場合は100万(収入)-65万(給料所得控除)=35万円までの所得であれば非課税となります(住民税の均等割は掛かる場合があります)。


/ 所得
(給料収入)
所得税が非課税
(給料収入)
38万円以下
(給料収入のみは103万円以下)
住民税(所得割)が非課税
(給料収入)
35万円以下
(給料収入のみは100万円以下)


 扶養控除



扶養控除
結婚して出産し、子供が産まれれば扶養家族が増えますので、扶養控除が適用されます。


この扶養控除も配偶者控除と同様、その年の12月31日現在の状況によって控除されるのかどうかが決まります


ただ平成23年分(2011年分)から16歳未満の扶養親族控除が廃止されました。具体的に扶養控除の対象となる親族の年齢と扶養控除額は以下の通りです。


親族の年齢 扶養控除額
(所得税)
扶養控除額
(住民税)
0歳~15歳 控除なし
16歳~18歳 38万円 33万円
19歳~22歳 63万円 45万円
23歳~69歳 38万円 33万円
70歳以上~ 48万円
(同居は58万円)
38万円
(同居は45万円)


 医療費控除・生命保険料控除




子供が産まれれば医療費もいままで以上にかかると思いますが、年間の医療費によっては医療費控除が受けられますし(年末調整では控除されませんので、サラリーマンの方は確定申告が必要です)、新たに生命保険に加入すれば生命保険料控除も適用されますので、結婚したり、出産した場合は、これらの所得控除があることを覚えておきましょう!